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水替え不要で8個のメリットと方法

  • 執筆者の写真: Hadesu
    Hadesu
  • 2023年6月5日
  • 読了時間: 14分

無換水で難なく熱帯魚飼育できる水槽の作り方を始めて約5年間が立ちました。そして良い結果が出たので、その理由と方法を紹介したいと思います。

水替え不要とは

ここで言うアクアリウム【淡水】における水替え不要とは、熱帯魚やエビなど水生生物を閉鎖的空間で飼育する際に、濾過器を用いて餌は一般的な量を与えながら一度に多くの水を入れ替える作業がなく、その生物が長期間飼育、成長していく事が可能な事。

メリット

  • 水替え不要

  • メンテが楽

  • 病気になりにくい

  • オールドタンクシンドロームにならない

  • レイアウトが容易に変更できる

  • 1L/1匹の従来通り飼育できる

  • シンプルなレイアウト

  • 小型水槽でコンパクトに設置出来る

デメリット

  • 慣れるまで時間がかかる。

  • 水草水槽向けでは無い。

  • 大型水槽では立証出来ていない。

  • 海水魚でまだ立証出来ていない。

水替え作業の常識はいつから始まったのか?

  • アクアリウムの始まり

閉鎖環境あるいは人工環境中で魚を飼うことは、歴史的に深い起源を持つ。古代のシュメール人は天然で捕まえた魚を、食料として池で飼うことが知られていた。【引用Wikipediaアクアリウムより】

シュメール人は紀元前4,000年に生きていた民族とされているから、約6,000年前に池で飼うことが始まったとなり、その頃は池なのでまだ水換えはなかったと捉えて良いでしょう。

  • では、水換えはいつから始まったのか?

中国の王朝中には、金魚が屋内に持ち込まれ、大きな陶器の容器の中でそれらを楽しむことが行われた。【引用Wikipediaアクアリウムより】※ 宋 (王朝)西暦960〜1279年

水替え作業は室内で水生生物を飼う事によって生じる作業である事から、少なくとも約1,000年前には中国で水換えが発生していたと考えられます。

  • ガラス水槽の始まり

1665年に、日記作家サミュエル・ピープスは、ロンドンで「1杯の水の中で飼われた魚という、永久に生きるであろう素晴らしい、極めて特徴ある異国の珍品」を見たと記している。【引用Wikipediaアクアリウムより】

現代で言うアクアリウム【透明容器での飼育】と言う概念は1665年位【約360年前】から始まったとされています。

 つまり上述している話でいけば、約1000年の間進歩もせずにせっせと水換えをしているのです。もう一歩踏み込んでもバチは当たらないかと、、、笑笑

 ではどうやるの?って話かと思いますので下記に続きます。

水替えの意味を深掘りする

  • そもそも水替えとは、、、

水槽の水替えをする主な目的は、魚にとっての有害物を除去し、水質を状態良く維持することです。有害物と言っても性質はさまざまで、はじめは無害でも時間の経過によって有害なものに変化してしまうものもあります。【プロ直伝】水槽の水換えの頻度・タイミングと方法について

※ここでは一観点に係り、水換えを不要とする思考から成る記載内容となっています。

とありますが、流れの速い場所、遅い場所、淀んでいる場所を考慮すると均一に有害物【汚れ】が溶解しているわけではないと考えられるので、一概に水換えをしたから有害物を除去出来てるとは言いがたいです。

有害物【汚れ】の質を知り、効果的に除去或いは無害化できるなら、わざわざ水換えをする必要はなくなると思います。

  • 汚れの本質は水から知るべし

水の誕生ー地球は約46億年前に誕生したといわれています。しかし、地球にははじめから水があったわけではありません。誕生して数億年の地球は岩石の塊で、水のもとになる水素や酸素も岩石の中に閉じ込められていました。この岩石が地殻の熱で溶かされ、そこで遊離※1した水素と酸素が結合して、水ができたのです。※1遊離とは、原子/原子団が他の物質と結合しないで存在していること。

海の誕生ー水は水蒸気となって吹き上がり、厚い雲となって地球を包みました。そして、地球にはじめて降り注いだ雨は、岩石に閉じ込められていた有機質※2の元となる炭素、窒素、ケイ素などや、さらには地殻の底に閉じ込められていたナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、銅、カルシウムなどを溶かし出しました。こうして多くの物質を含んだ海が生まれました。生命の源、「水」|大塚製薬

熱帯魚を長期的に飼育するには代謝活動を継続させる必要があり、水の中に前記引用文で述べているようなミネラルが含有していないと円滑な代謝活動が出来なくなります。

 また、熱帯魚が飼育維持できる環境にはさらに、大きく2種類の有機物【下記引用文参考】を除去する必要があります。

2つの物質の混和性は光学的に決定されることが多い。2つの液体が混和性であるときは、得られる混合液体は透明である。混合液体が曇っている場合は、2つの物質は非混和である。混和性

 大きく分けて、水に溶解しない【タンパク質由来】汚れと【窒素由来の】溶解する2種類の汚れがあり、除去或いは無害化しなければ、閉鎖的空間の水槽で熱帯魚の飼育は困難になります。

 そしてタンパク質由来の有機物【汚れ】は餌や糞などに必ず含まれ、常に増え続けるので熱帯魚に大きな負担となります。

 目で見てわかる現象としては油膜や濁りとして現れます。

 また、窒素由来の物質は基本的に溶解する汚れなので目で確認するのは難しいと思います。

脂質は、タンパク質、糖、核酸とともに4つの主要生体物質の一つを構成する。脂質

  • 濾過の本質

前記内容の汚れによって病原菌を含めた微生物群は爆繁殖し、熱帯魚を蝕んでいきます。つまり、尾腐れ病や、斑点病などあらゆる感染症に可能性が高くなります。

 なので、水を濾過する手段を用いて熱帯魚を水槽内で飼育出来るようにするのが濾過器の意義になり、濾過器に水中に含有する汚れをどれだけ集めれて、処理できるかが熱帯魚の飼育のカギとなります。

 これまでさまざまな手段や方法が開発されて来ましたが、濾過の起源はイギリスのロンドンの人口増加に係る河川の汚染を浄化させる為に1825年頃【約200年前】から始まったとされています。

濾過起源ー1825年テームズ河を水源とするチェルシー水道会社のジェイムス・シンプソンは砂層で河川水をろ過する実験を実施しており、1829年には緩速ろ過池を実用に供するようになった。 厚さ1.8mの砂、砂利層を通過させることにより透明な水を得ることが出来たのである。また、砂層が目詰まりを起こしても上部の砂を1~2cm掻き取ればろ過能力が回復することも分かったようである。水問題研究所:西欧における緩速ろ過池について

  • 病気の本質

熱帯魚の病気はかなり危険で、飼育者が築いた頃にはもう手遅れってことが多いです。

 しかし、ここでこんな種類の病気と原因がありますと言ったところで、今読んでる方には実感が、なく防ぐ事は困難だと思いますので、経験した事から病気に係る共通点を開示していきます。

病気の種類は、リンクが参考になります。

 まず飼育者がどこでアクアリウムをしているのかでも変わってきます。

 都会な感じ

  • カラムスナリス菌

  • エロモナス菌

 殆ど上記2つの細菌による病気がほとんどです。

 緑豊かな感じ

  • カラムスナリス菌

  • エロモナス菌

  • 寄生虫

 地下水を使用する場合は寄生虫にかかることが多い感じです。

 個々の病気名が知りたい方は上記リンクで、調べてみてください。

熱帯魚が病気に感染する時は、水中に含有する懸濁物質が多く富栄養化にある時か水流が強すぎる時等に熱帯魚への負担が大きくなり、免疫力が下がった時に感染症を発症することが殆どです

  • 水の作用、性質

水には表面張力が存在し、汚れの一部は均一に混ざり合う事は無く、場所によって偏りがある事がわかります。

水分子の間に存在する水素結合により水分子が互いに大きな力で引き合っているからです。

結論

  • 水換えは知らぬ故に行う身勝手な行動

水換え作業をするということは、1/3と言えども多くの水を換えることに変わりはありませんので、多かれ少なかれ熱帯魚の代謝活動に負担が掛かる事はほぼ確実かと思います。それにも関わらず、水換えをするという事は人が陸上で生活する生物で、水中の感覚を理解する事は難しく陸上での感覚とリンクさせてしまう事に原因が有ると考えた方が筋が通ります。

つまり、陸上と水中では環境が違うため物事の作用の仕方も異なり、水中での作用を知らぬまま陸上の作用と同等に考えてしまう故に水換え作業は熱帯魚にとって最適な方法だと誤った解釈が約1000年も周知され続けて進歩しないんだと私は思います。

水替え作業はいらないけど、、

 ここで言う水替え不要とは、作業として水槽内の一部の水を交換する事を意味します。つまり、外部の気温や湿度の差による蒸発や濾過材の交換洗浄などにより減った水は当然足さないといけません。

 また、水面上の空気が淀んでいては水中に良い作用は起こらず、原因不明の病気に掛かります。なので水中と水面上の両方で好適な循環をする事で水換えをする要因をなくします。

さらに水面は、必ず滞りなく循環させる事が重要になります。

 油膜が張っている状態ならば非常事態と捉えて下さい。速やかに除去しなければ水中の環境は最悪になります。

魚にとって住みやすい環境は人にとっても管理しやすい環境

 上述している内容をクリアしている状態ではメンテとして何をしたら良いか明白になります。

水槽を維持する上でのメンテナンス内容として、

日常のメンテナンス【4〜7日に1回】

ーマットの交換

ー活性炭洗浄

ーヨウ素の洗浄

ー珊瑚砂の洗浄又は交換

ーコケとり※飼育数や大きさ、照明時間によりつく量は変動します。

ー炭素源【ペレット】の通水確認及び補充

定期メンテナンス【3〜6ヶ月に1回】※飼育数や大きさにより変動します。

ー磯砂利の洗浄

ー濾過層蓄積デトリタス除去

ーヨウ素の交換

をする事で、水換え作業をしなくても好適な水質を維持する事ができて、管理が簡素化されます。

  • 水替え不要

光合成と炭素の循環作用と脱窒の3つの手段を合わせる事で無換水濾過を生じさせます。

 【光合成】は、レフジウムとしてウィローモスを用いて流れが淀みやすい底面に設置し効果的に硝酸塩を吸収させる脱窒作用を行いますが、植物の吸収量は増え続ける硝酸塩を減らす力は乏しいので、炭素源を使い嫌気性の細菌を利用した脱窒を更に使います。

 また、同じ炭素源と専用の照明を用いてリン酸の除去も行い、苔の異常繁殖を軽減させます。

  • メンテが楽

濾過層はマットの交換や珊瑚砂の洗浄など通常水槽のメンテとあまり変わらず難しいことがありません。

 また、飼育層に床砂や水草を使わないので掃除が楽にでき、レイアウトが崩れてやり直す手間も有りません。

  • 病気になりにくい

病気に掛かると言う事は水質に何かしらの異常があるからで、水中環境の形成パターンが決まっていると、コケの繁殖スピードがいつもより早くなったり、油膜が排水されていなかったり、炭素源の排水が滞っていたりと水質異常パターンも決まってくるので、病気になる前に対処が可能になり熱帯魚が感染症に掛かるのを予防できます。

  • オールドタンクシンドロームにならない

オールドタンクシンドロームとは、床砂ありの場合に、除去できないデトリタスの蓄積によって水質異常が水換えをしても、濾過材を変えても治らず水槽を一旦リセットさせる事で解決できるとされており、数年に一度起こるとされています。

水換え不要にするには、蓄積するデトリタスを除去できるように形成されていますので、いつも通り管理していけば、デトリタスの蓄積も滞留せず、オールドタンクシンドロームになる事は有りません。

  • レイアウトが容易に変更できる

基本はベアタンク【床砂と水草を使わないレイアウト】ですので、水流で崩れたり、水槽をリセットするのに時間がかかったりしないので気を使う部分が少なく済みます。

  • 1L/1匹の従来通り飼育できる

従来、水換え不要とするのはビオトープ的観点で捉えており、大量の水草に少量の熱帯魚で構築するバランスドアクアリウムが有りましたが、水換え等をする通常のアクアリウムの設定数【一般的に1L/1匹】で飼育ができます。

 つまり、30cmキューブ水槽【約22L】の場合、【約22L/22匹】の飼育が水換え不要できます。

  • シンプルなレイアウト

基本、床砂と水草を使わないレイアウト構成になりますので、その分熱帯魚の鑑賞に適したシンプルなレイアウトで従来より管理も楽になります。

  • 小型水槽でコンパクトに設置出来る

30cm水槽なので、基本的に床の補強はしなくてもよく、置き場所に困らず集合住宅や賃貸住宅でも難なく設置できます。

無換水の濾過方法

  • 30cm水槽

30キューブ水量約22l

  • 飼育空間と濾過層は半半

上記の濾過材を詰め込むには飼育空間に対して同等の空間が必要となります。

各使用空間に係り下記に詳しく開示します。

用いる濾過方

  • A2O

脱リン、脱窒(Anaerobic-Anoxic-Oxic)システム。AOシステムに、脱窒工程を付加し、微生物でBOD、リン、窒素の除去を同時に行います。下水の高度処理 高度処理方式 A2O法

  • リフジウム

リフジウムとは「本水槽と接続された隔離水槽のひとつであり、海藻が繁茂した隔離水槽」のことです。リフジウムとは!?メリットとオススメの海藻、作り方について! – アクアハーミット

  • 脱窒

ろ過サイクルの最終段階で硝酸還元菌によって硝酸イオンを窒素に変換して空気中に放出する段階Pseudomonas denitrificans、Paracoccus d.、Thiobacillus d.などが知られている。脱窒

上記3つの濾過方法を応用し新しく、熱帯魚の心地よい環境を水槽内で実現するコンパクトなシステムとして開発してきました。

濾過材

  • マット

通常の物理濾過でよく使われるウレタンマットで形が整っているのではなく綿状のものが好ましい。

  • 活性炭

筒状や形の整ったものでは無いものが好ましい。

  • 磯砂利

通常の床砂によく使われるもの

  • 珊瑚砂

海水水槽の床砂でよく使われるもの

  • ヨウ素

粒状のものが好ましい

  • 炭素源

バイオペレットが好ましい

上記の濾過材はヨウ素と炭素源以外ホームセンターなどで安価に売られている。

使用空間

  • 飼育層

熱帯魚を飼育する空間

  • 濾過層

飼育層の水面と底面から排水でき、デトリタスの沈殿層を設けれる空間

  • 循環経路

飼育層と濾過層を循環させるように出来た形成部材

  • シェルター

飼育層下に熱帯魚の隠れ家となりウィローモスが置けてベントスが生育出来る空間

  • ダストBOX

飼育層と濾過層の間にあるデトリタスの沈殿層

point

  • 検査数値に捉われない

pH:酸性・中性・アルカリ性

KH:炭酸塩硬度

GH:総硬度

NH4:アンモニアイオン濃度

NO2:亜硝酸イオン濃度

NO3:硝酸イオン濃度

Cl2:塩素濃度

PO4:リン酸濃度

などを検査して水質を管理しようとやっている方がほとんどだと思いますが【以前は私もそうでした】結果に異常がなくても、熱帯魚に異常が出る事が多々ありました。

水質と水の性質に関して色々試して見ました。様々な失敗がありましたが良い結果が出ましたので、以下の事は現実に水中で作用していると考えて間違い無いと思います。

ー水中に含有する懸濁物質は必ずしも均一に溶解しているわけではないので場所によって水質が違う。それに伴い生息する微生物にも違いが出てくる【見えないですが】為に原因不明の感染症にかかる事がある。※あくまで一要因と考えてください。

ー餌や水槽内に生息する生体の代謝によって発生するタンパク質由来の有機物は水に溶解しない為水面に浮遊し、油膜となる。たとえ水中の懸濁物質が少なかったとしても、著しく水質を悪くします。

ー生体の代謝に必要なミネラルが枯渇してしまうと水中の環境が偏り、熱帯魚への負担が大きくなります。また、コケの異常繁殖につながります。

ー熱帯魚を元気に飼育する為には有機物の量に比例してメンテナンス頻度は多くなります。

ー水流が強すぎると即座に熱帯魚【特に小型】への負担はピークとなり、何らかの感染症に掛かります。また、循環量が少なくても同様の事が起こります。

つまり、リトマス試験紙や試験薬で検査したところで水槽全体が良い環境だとは決して言えないのです。かなりザックリとした傾向しか判断出来ず価格も高価な為、飼育者の判断間違いに繋がるだけでなく、負担も大きくなります。

水面の排水

上述しているように、タンパク質由来の有機物は水に溶解せず、その要因である餌や代謝による排泄物は毎日増え続け、それは水面に油膜として発生します。なので水面を絶えず循環させていなければ、水質は悪くなります。しかしながら、通常のようにポンプで吸い上げる循環方法やエアーポンプの気泡では水面を循環させる事は出来ません。水面用の排水経路が必要になりますので注意です。

水面上の換気

水質や熱帯魚の感染症に係る微生物は、水がある事によって代謝活動が出来ます。水槽に蓋など密閉しなくても、空気が淀むような事をしてしまうと、蒸発した水が水面から蓋までの間で滞留し淀んでしまいます。

すると湿気の多い事で感染症の原因になる微生物が活動出来るようになり、環境的に繁殖してしまいます。

そこで繁殖したら、当然懸濁物質の含有している水槽内の水に入っていき、熱帯魚の感染症発症に繋がります。

6h/1日程度の飼育層照明及び換気

無換水濾過で管理する時に上述している換気は1日6時間程度すれば効果が出てきます。また、飼育層に対しての照明も光合成に係る微生物の環境形成に対して好ましく、熱帯魚の健全な育成につながります。

24hの濾過層照明

濾過層に光合成を促す照明を照射する事で、濾過層内の環境を最適化します。

有機物の量に比例してメンテ頻度は高くなる

餌の量や排泄物の量によって、微生物の数も増えることでペレットの消費も早くなり、マットや濾過材の汚れるスピードも早くなってくる為、飼育数を増やしたらメンテナンス頻度は高くなります。

まとめ

水換えを長くやってきて当たり前になっているので、ビオトープやバランスドアクアリウムの様な使い勝手が悪いやり方では無く従来通りの飼育ができて、水換え作業の無い飼育装置があっても良いのではないか?その方が、レイアウトの幅や考え方も広がり、熱帯魚への接し方も違う形になると思っています。

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